−丸の内線−

「あ、桜井さんでしょ!」
「あ!ショウ!」
「あれ、ちょっと桜井さんと違うかな」
「いや、オレだよ」
「え?桜井さんと似てるようで・・・」
「だからオレだよ」
「ホントかな〜。じゃあ尿意は?」
「30秒間隔」
「あ、やっぱり桜井さんだ!」
「もう!」
「いや、だって最近犯罪が多いからさー」
「あ、そうなんだ」
「あ、そうだ見て見て俺の靴下」
「あ、色が違う」
「うん、左右別々の靴下を履くのがね、いまブームなの」
「マイブームでしょ?」
「うん、マイブーム」
「マイをつけるかつけないかで全然意味が違うよ」
「うん、まぁ、それはいいんだけどね、今日はさー」
「うん」
「俺の詩を見て欲しいなぁと思ってね」
「あ〜」
「え?見たくない?あ、見たくないんだ」
「見たいよ」
「あのね、ネコで道が封鎖されてて家に帰れないって詩なの」
「うわぁ」
「もうすこしで自宅なの。でもね、帰り道にネコがいっぱ〜いいるの」
「うん」
「そんで、あぁ、これじゃあ帰れないよ、ってふうになって」
「はぁ」
「外に宿をとるの」
「ネコまたいで帰ればいいんじゃないの?」
「そういう考えは一切浮かばなかったの、このひとは」
「ちょっとおかしいの?そのひとは。」
「いや、ロマンチストなの」
「あぁ」
「かっこいいよね〜」
「うーん」
「なに?じゃあ桜井さん、詩つくってみてよ!」
「え〜そういうのさ〜だめだよ。」
「なんで?」
「サッカーの解説してる人が実際にサッカーうまいとは限らないのと同じだよ」
「あぁ、なるほど」
「でしょ」
「うん、あ、あれは?あの〜あれ不思議だよね」
「なに?」
「桜井さんの家さー、山の上でしょ、あれってどうやって水道があそこまで行ってるの?」
「あ〜、ちょっと不思議だね」
「ね!だって水がどうやって山の上に登ってくの?ね?なんでかな〜」
「あれはポンプだと・・」
「口移しだ!」
「え?」
「口移しだよ。せっせと口移し」
「すごいね、それ」
「世界ってすごいよねー」
「あぁ、そうそうすごいと言えばさー」
「うんうん」
「オレの炊飯器の中にアリが42匹いたよ」
「え?!桜井さんちのあの炊飯器に?」
「うん」
「何合で?」
「2合」
「2合に42匹!」
「びびったよ、あれは」
「ちょっとシュールだよね」
「うん、シュールだ」
「シュールといえばさー、東京メトロの丸の内線ってシュールじゃない?」
「え?」
「だってここに四ツ谷があるでしょ、で、こうやって東京駅行っちゃってそのままず〜っとまっすぐ行けばいいものをどういうわけか池袋のほうにいっちゃうんだよ」
「戻る感じ?」
「そう、戻る感じ」
「だから、新宿から池袋まで丸の内線使う人がいたらその人ちょっとアホだよね」
「あぁ、シュールだね。山手線使えばいい話だからね」
「そうそう、うん、そんな人はやっぱりシュールだね」
「東西線とか南北線ってのはいさぎいいよね。すっきりしてる」
「あぁ」
「とくに南北線はいいね、赤羽って街もいいね」
「あ〜赤羽」
「うん、桜井さん行ったことある?赤羽」
「ないよ」
「あそー。あそこは王子駅なんかよりもずっといいね」
「ふーん」
「俺、赤羽みたいな人になりたいもん」
「はぁ」
「え?いまツッこむところだよ」
「あ、ごめん、おなかすいたよ」
「うん、そうだね、よしボリュームランチ食べよ!」
「うん!」



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